みなさんもご存じのとおり、コーヒーは植物です。
詳しくはアカネ科の植物「コーヒーノキ」の種子。
したがって実際にはコーヒー豆は「豆」ではなく、果物の「種」のようなものなのです。
コーヒーノキの実はサクランボのように赤く、
コーヒー豆はふつうその中に平らな面を合わせるようにしてふたつずつ入っています。
「コーヒーノキ」の原産地は東アフリカ、エチオピアあたり。
ちょうど「人類発祥の地」とされる場所の近くです。
つまり、私たち人類とコーヒーとは同郷ということになります。
私たちの遠い祖先も遙か遠い昔、東アフリカの草原で赤く色づいた「コーヒーの実」を採って食べていたのかも知れませんね。
もっとも「コーヒーの実」は、そのまま食べてもあまり美味しいものではありません。
まして「種」、つまり「生豆」など問題外。青臭いばかりで、食べられたものではありません。
でも、そうすると、いったい誰がこれを煎り、粉にして、湯で煮出すという画期的な方法を発明したのでしょう?
コーヒーが現在のような飲まれ方をされるようになったのは、15世紀ごろのことだといわれています。
場所はアラビア半島。
イスラム教の僧侶たちが、夜を徹しておこなう宗教儀式の際、眠気覚ましの秘薬として飲んだのがはじまりだそうです。
こんな伝説があります。
「その昔、ひとりの僧侶が食べる物もなく山中を彷徨っていいると、一羽の鳥が降り立ち、『コーヒーの木』を僧侶に教えた。
僧侶はその木の実の種を煎って、スープにして飲んだ。
すると、たちまち疲れは癒え、元気になったという。
街に戻り、病人にこれを与えると、病も治ったそうな…」。
歌にある「むかし、アラブの偉いお坊さんが…」という、あれですね。