植物学ではふつう、植物を「科」「属」「種」の順に細かく分類していきます。
たとえばソメイヨシノなら、「バラ科サクラ属ソメイヨシノ」。
サクラとバラは見た目にはまったく異なりますが、分類上は同じ科に属する植物なのです。

コーヒーが属するのは「アカネ科」です。
「コーヒー」というのは「属」の名前。アカネは「ツル状の草」ですが、コーヒーは「常緑樹」で、サクラとバラ同様、
やはり両者は見た目にはまったく似ていません。
「コーヒー属」は40種あまりの植物で構成されたグループです。
その中で、現在飲用とされているのは「ロブスタ種」「リベリカ種」「アラビカ種」の3種。
そんなことからこの3種は、一般に「コーヒー三原種」と呼ばれています。
「ロブスタ種」は病害虫にも強く、栽培しやすい品種です。
しかしこの種の生産量は、世界のコーヒーの20〜30パーセントほど。
「ロブスタ種」のコーヒーは風味に欠けるため、ふつう缶コーヒーやインスタント・コーヒー用にしかならず、
商品価値が低いのです。
「リベリカ種」も、低地栽培が可能な丈夫な品種です。しかしこれもやはり風味に欠けるため、
その生産量が占める割合は、コーヒー全体のごく僅かにすぎません。
さて、三原種の中で味わい、香りともに優れ、いちばん美味しいのが「アラビカ種」です。
そのためこの種は商品価値も高く、世界のコーヒーの全生産量の約70パーセントまでを占めています。
「モカ」や「ブラジル」といったストレートはもちろん、それらを配合した「ブレンド」の中身も、
高級なレギュラーコーヒーは、ほとんどすべてがこの「種」のコーヒーです。
「アカネ科コーヒー属アラビカ種」ですね。