
喫茶店で注文したコーヒーが運ばれてきたとき、「あれっ」とお感じになったことはありませんか?
日本では多くの喫茶店がコーヒーカップの取っ手を、お客さんから向かって左側にくるよう給仕しています。
お客さんはみな、カップをクルッと回してからコーヒーを飲むことになりますよね。
でも、なんで喫茶店ではわざわざこのようなセッティングをしているのでしょう。
最初から「右取っ手」で出せばいいのに…。
じつはカップのセッティング方法にはふた通りあって、
このふたつの方法は一般に「イギリス式」と「アメリカ式」と呼ばれています。
「イギリス式」では取っ手は向かって左側、「アメリカ式」では向かって右側。
日本ではほとんどの喫茶店が「イギリス式」の方で給仕しているため、
例のカップ回しがコーヒーを飲む時の儀式のようになっているわけです。
なぜ、この「左取っ手」を「イギリス式」と呼ぶかというと、イギリスの古い風習から来ているのだとか。
イギリスには古くティーパーティーという風習があり、その時右手でお菓子を食べながら左手で紅茶を飲んだのだそうです。
そのため、イギリスではカップはあらかじめ取っ手を左側にして給仕しており、
これが「イギリス式」の名の由来になったというわけです。
ただ、それではこの「左取っ手=イギリス式」がコーヒーを給仕する時の正式なマナーかというと、異論を唱える人もいます。
「イギリス式」はあくまでも紅茶のマナーであって、ティーパーティーのような伝統のないコーヒーは、
飲みやすいように「右取っ手」で給仕すべきだ、というのです。
ちなみに帝国ホテルでは「右取っ手」のアメリカ式で給仕しているとか。
しかしそうなると「イギリス式」と「アメリカ式」、いったいどちらがコーヒーを給仕する際の正式なマナーなのでしょう?
まあ、どちらにしたところでコーヒーの味に変わりはありませんけどね。