近年、シアトル系と呼ばれるコーヒーショップが人気です。
カプチーノ、カフェ・ラッテ、カフェ・マキアート…。
これまで私たちにはあまり馴染みのなかったメニューがズラリ。
店に入ったまではよかったものの、注文に困ってしまう方もいらっしゃるとか。
もちろん、どんな洒落た名前が付いていようと、それがコーヒーであることに変わりはないんですけどね。
シアトル系コーヒーの多くはイタリアで生まれた濃厚なコーヒー、エスプレッソのバリエーションです。
エスプレッソとはイタリア語で「急速」という意味で、深く焙煎した豆を細かく挽き、
専用のマシーンを使って蒸気で一気に抽出します。
小さなデミタスに入れて、少量の砂糖を加え、立ったままグイッと飲むのが本家イタリア式。
20世紀のはじめにミラノ(一説ではトリノ)で発明されたのだそうです。
ちなみにカプチーノというのは、そのエスプレッソに泡立てたミルクをそっと注いだもの。
こんもりと盛り上がったミルクの泡が、ローマ・カトリックの僧侶がかぶる頭巾「カプッチョ」
に似ていたためこの名が付いたとされています。
なんともイタリアらしいでしょ?
いわゆるシアトル系コーヒーは、そんなイタリアンコーヒーがアメリカに渡って進化したもの。
イタリアで誕生し、アメリカが再発見したコーヒーといえるでしょう。
エスプレッソの、砂糖やミルクを加えても負けない濃厚なテイストが、
アレンジコーヒーのベースにうってつけだったわけです。
それにしても、アメリカンといえば薄いコーヒーの代名詞だったわけですから、
アメリカ人の嗜好も随分と様変わりしたものですね。